季語道楽
季語道楽⑾ 「新走り(あらばしり)」左党にたまらぬ季語です 坂崎重盛
脳みそが茶碗蒸しになってしまいそうな長い猛暑がやっと終り、車窓から見える土手の彼岸花も、いつの間にか去り、天が急に高くなった。 こうなると酒、もちろん日本酒が旨くなる。 最初のひと口は、まずは香りをかぎ、唇を湿らせるよう...
季語道楽⑽ 日本人なら必携、文庫本俳句歳時記 坂崎重盛
なんなんですか、今年の夏は。って、今は暦の上では、とっくに秋に突入。朝晩は肌寒い日があってもいいはずなのに、この原稿を書いている九月二十日はまだ、全く真夏の超ロングラン。 日本で一番暑い町、といわれる埼玉県の熊谷などでも...
季語道楽⑼ えっ、「ほおずき」は夏の季語ではない? 坂崎重盛
七月十日、仕事場へ行く前に浅草で途中下車をした。七月十日といえば「四万六千日」、浅草寺で鬼灯市(ほおずきいち)の立つ日である。 ちょっとした落語ファンならご存知のはず、この「四万六千日」、黒門町の師匠、桂文楽の名演で知ら...
季語道楽⑻ 「麦秋」「氷雨」「御来光」すべて夏の季語? 坂崎重盛
すごいですねぇ、この五月の中ごろから下旬にかけての気象。 晴れていたかと思うと、一点にわかに掻き曇り、なにやら湿った風が吹いてきたな、と暗くなった空を見上げていると、ゴロゴロゴロと雷の音。と、バラバラと大粒の雨が。 テレ...
季語道楽⑺ 藤は咲いたか菖蒲はまだかいな 坂崎重盛
ゴールデンウィークのはざまの五月一日、浅草に向かった。用件が三つほどあったので。 ひとつは、伝法院通りに店を張っているアンチック時計屋さんに行くこと。ここで手に入れた金(ピカの)腕時計のリューズがダメになってしまったので...
季語道楽⑹ 「遠足」「ぶらんこ」「しゃぼん玉」──春爛漫の季語です 坂崎重盛
つい先週、桜が満開と思っていたら、一週間ほどで一気にちり、今は八重桜が重たい花房を垂らしている。 それにしても、今年の春はいつもより遅かったためか、木蓮(モクレン)も雪柳(ユキヤナギ)も花海棠(ハナカイドウ)も、そして桜...
季語道楽⑸ 貝寄風や吹きとんでゆく芸者たち 坂崎重盛
今年は春のくるのが遅かったですね。相撲の春場所が終わっても北風が吹く日があったりして。 でも、早い遅いといったって、来るものはくる。春が来れば夏が来る、夏が来れば秋が来る。あたりまえのことですが、私たち日本人は、このよう...
季語道楽⑷ 「蛙の目借時」とはなんとも滑稽な季語ではありませんか 坂崎重盛
この日曜日、吉田類さんの主宰する「舟」の句会に参加した。兼題は「探梅」(あるいは「梅探る」)。梅の名所の湯島天神への吟行。「探梅」は本来、冬の季語だが、この日の底冷えするような気候なら、かえってふさわしいのかも。湯島の梅...