新・気まぐれ読書日記
新・気まぐれ読書日記 (54) 石山文也 話術
行きつけの書店の<新刊文庫コーナー>で見つけた徳川夢声の『話術』は、カバーを装丁した平野甲賀の独特な書体に“手招きされた”ようで、迷わずレジへ。帯にあるような会議、プレゼン、スピーチには最近はトンと縁がないし、いまさら「...
新・気まぐれ読書日記 (53) 石山文也 琥珀の夢(その2)
気の早い読者ならタイトルが『琥珀の夢』だから、信治郎いよいよウイスキーに挑戦するのか、と思われるかもしれない。とんでもない。明治・大正のこの時代、日本酒の需要に比べれば洋酒は微々たる需要しかなく、輸入販売でまかなえたから...
新・気まぐれ読書日記 (52) 石山文也 琥珀の夢(その1)
明治12年の年が明けてほどなく“商いの都”大阪、道修町に近い釣鐘町の一角でひとりの男児が産声を上げた。江戸期から両替商を営む三代目鳥井忠兵衛、こまの第4子、次男で信治郎と名付けられた。道修町は江戸時代から薬種問屋が集まり...
新・気まぐれ読書日記 (51) 石山文也 牛車で行こう
購読紙の書評を読んで行きつけの書店に注文したら珍しく「版元重版待ち」とのこと。次はこれ、と意気込んでいた『牛車で行こう!』(京樂真帆子著、吉川弘文館刊)は副題に「平安貴族と乗り物文化」とあるから地味でマニアックな分野と思...
新・気まぐれ読書日記 (50) 石山文也 星の王子さま
「そうか、この連載も50回目となるのか」と、取り上げた本が並ぶ書棚を見ながらささやかな感慨にふけっている。前身となるミニコミ誌への連載は、読んだ本の中から毎回、何冊かを紹介するスタイルの『気まぐれ読書日記』を計65回続け...
新・気まぐれ読書日記 (49) 石山文也 平家物語 犬王の巻
あらゆる物語には続きがある。たとえば続編があり、たとえば異聞がある。どうしてそんなものが生まれてしまうのだろうか。一つには、物語は語られては消え、語られては消え、読まれては忘れられるからだといえる。 なれども、それだけで...
新・気まぐれ読書日記(48) 石山文也 平家物語
本を「厚さ」や「重さ」で論じるべきではないことは重々承知しているが、あえてそこから始める。古川日出男訳の『平家物語』(河出書房新社)は、厚さ4.5センチ、重さ860グラム、解説を含め、全905ページもある。池澤夏樹=個人...
新・気まぐれ読書日記 (47) 石山文也 文庫解説ワンダーランド
このブログを愛読されている先輩の某氏から久しぶりのリクエスト。「文庫か新書で、何か面白い本ない?」続けて「寝転がって読むにしても単行本は重いからね」とのたまう。おざなりに答えるわけにはいかないし、単行本を文庫化したのを勧...