あと読みじゃんけん
あと読みじゃんけん (10) 渡海 壮 探検家36歳の憂鬱
子どものころから「たんけんか」に興味があった。長じてそれは「探検家」と書くことを学び、彼らが残した「探検記」を読むのが大好きになった。あこがれの探検家が活躍するのは南極や北極をはじめアフリカ、アマゾン、ヒマラヤ奥地など<...
あと読みじゃんけん(9)渡海 壮 当マイクロフォン
三田完の『当マイクロフォン』(角川書店)はNHK屈指の語り手で<伝説のアナウンサー>と言われた中西龍の生涯を描いた評伝小説である。この表紙イラストは本人の特徴をよくとらえているが、ラジオがメインの時代だったから「顔」より...
あと読みじゃんけん(8)渡海 壮 林原家
変った題名である。「〇〇家」と「棺桶」とくればついつい葬儀を連想してしまう。林原家とは2011年2月に会社更生法適用を申請して倒産した岡山市のバイオ企業・林原の創業者一族である。『林原家』(日経BP社、2014年)の著者...
あと読みじゃんけん(7)渡海 壮 血族の王
岩瀬達哉の『血族の王』(新潮社)には「松下幸之助とナショナルの世紀」という副題がついている。妻と始めた大阪の町工場を事業拡大への飽くなき執念で世界企業に育て上げ、従業員38万人の一大家電大国へと成長させた松下幸之助。激動...
あと読みじゃんけん(6)渡海 壮 人は死ねばゴミになる
「ミスター検察」と呼ばれた元検事総長・伊藤栄樹(しげき)のがん闘病記『人は死ねばゴミになる』(新潮社)は昭和63年(1988)6月に発行された途端に大きな話題となった。なかには「死ねばゴミになるとは何事か」と題名に批判の...
あと読みじゃんけん(5)渡海 壮 突破者
関西でいうところの「とっぱ」は「突破」と書き、無茶者、突っ張り者を指す。<作家の看板をあげたアウトロー>を標榜する宮崎学が一躍、世間に知られる存在になったのが1976年(昭和51年)10月に出した『突破者』である。東京新...
あと読みじゃんけん(4)渡海 壮 天才
新聞に「下4段ブチ抜き」の広告が先日来、何回か掲載された。深刻な出版不況といわれるなかでは極めて珍しい。石原慎太郎『天才』(幻冬舎)は書籍広告には付きモノの「迫真の(か、どうかは別にして)ノンフィクションノベル」だという...
あと読みじゃんけん(3)渡海 壮 震える牛
「震える牛」のタイトルからは欧州で発生し、世界的なパニックを引き起こしたBSE=狂牛病に感染した牛のおぞましい映像が思い浮かぶ。追い立てられても足が震えて進めず、いまにも崩れ落ちそうな牛の群れ。感染牛が日本でも見つかった...