新・気まぐれ読書日記
新・気まぐれ読書日記(38) 石山文也 ムーンナイト・ダイバー
東日本大震災から5年、熊本地方を二度もの大地震が襲った。その後、熊本だけではなく大分などにも震源域が広がり一向に収まる気配が見えないなかで読み終えたのが天童荒太の『ムーンナイト・ダイバー』(文藝春秋)である。舞台は大震災...
新・気まぐれ読書日記 (37) 石山文也 東京煮込み横丁評判記
「不良隠居」を自称する坂崎重盛氏はいまも夜な夜な「ルート253」沿いの横丁に出没しているはずだ。逍遥記は『東京煮込み横丁評判記』として光文社から出版され、同社の知恵の森文庫に収録された。今回、書き下ろしの番外編2作とBS...
新・気まぐれ読書日記(36) 石山文也 忍者の教科書
ここのところ教科書を読みながら眠りにつく毎日である、と書き始めると「えっ、学校にでも通い始めたの?」と突っ込みを入れられそうだ。はまっているのは伊賀忍者研究会編の『忍者の教科書』(笠間書院)。ブックレットほどの大きさだか...
新・気まぐれ読書日記(35) 石山文也 たらふくつるてん
奥山景布子(きょうこ)の『たらふくつるてん』(中央公論新社)は「江戸落語の始祖」といわれることになる鹿野武左衛門のおもしろおかしく波乱に満ちた半生を描く。 奥山景布子著『たらふくつるてん』(中央公論新社) 京都のしがない...
新・気まぐれ読書日記(34) 石山文也 カサンドラ
新刊コーナーに並んだ桑原水菜の『カサンドラ』(角川書店)を手にしたのは題名からだ。表紙には客船らしい船が描かれ、帯には「傑作!船上サスペンス―絶海の船上で繰り広げられる、男たちの熱き闘い!」とあるから海洋が舞台なのは明白...
新・気まぐれ読書日記(33) 石山文也 京都ぎらい
朝日新書の『京都ぎらい』(井上章一、朝日新聞出版)が異例ともいえる版を重ねている。しかも、ここまではっきりと「京都が嫌い!」と題名にうたった本は初めてではあるまいか、いや、初めてに間違いない!と自称・京都本ウォッチャーの...
新・気まぐれ読書日記(32) 石山文也 水中考古学
いまも水中考古学の第一線で活動する井上たかひこが、小難しいはずの専門分野をわかりやすく紹介してくれる。「クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで」と副題にある『水中考古学』(中公新書)は、入門書であるとともに海底に眠...
新・気まぐれ読書日記(31) 石山文也 虚栄
「がん治療開発の国家プロジェクトは覇権争いの場と化した」という帯に惹かれて手に取った。医療サスペンスにしては変わったタイトルが何を指すのかが読む前から気になったこともある。現役医師でもある久坂部 羊の『虚栄』(角川書店)...